ほんきのよりみち

ほんきのようでほんきでない

あの日 窓辺から見えた夕日のはなし

私がまだ社会に出て4年ほどのことだったろうか。初めて部署異動というものを経験した。今でも思い出す、異動した先は四ツ谷の古いビルの8階、窓から外を眺めると目の前には上智大学の校舎が壁のようにたたずんでいた。右に目線を移せば構内にある聖イグナチ…

ライバルだった同期のはなし

ちょっと前まで私にはライバルの同期がいた。同期といっても彼は新卒入社、私は転職組で入社年度は異なるのだが、社会人を始めた年度が同じという意味で「同期」である。 彼は人当たりもよく快活で、見た目もさわやか。冗談もよく言うし、仕事はそこそこでは…

ボストンで考えたクリスマスのはなし

昨年のクリスマスはボストンにいた。 ボストンは初めてであった。私の中ではアメリカのクリスマスとは「ホーム・アローン」であり、「ラブ・アクチュアリー」であり、とにかく街全体がデコレーションされ明るくテンションマックスなイメージであった。だがそ…

朝を報せる車掌さんのはなし

実家に帰ってきている。 昨夜、焼酎を飲んでいい塩梅になった父親が、いつもの昔話を始めたのでおとなしく聞いていたのだが、同じ話でも以前と今では感じるものが違って自分としても驚きだった。少しは大人になったのだろうか。 父は戦後間もなく鹿児島で生…

本気の寄り道

最近気づいたのだが、頭の中で分かったようなふりをしていながら、何もわかっていないのだった。 例えば同僚や友人との会話の中で、またはテレビや雑誌で見聞きしたことで、気になることがあっても自分ひとりの頭でぐるぐると考え、時に煮詰まるとネットでど…